沈没

携帯(705SH)をトイレに落とした。よく聞く話ではあるけれど、実際自分がやってしまうとその物悲しさはなかなかに味わい深い。一瞬流れていったかと思いつつ、手を突っ込んで奥から引きずり出すときには、汚いというような感情もなく、ただただ呆然としたままだった。
まずだめだとわかっていても、蘇生させんとあらゆる試みをせずにはいられない。電池を外し、USIMカードを外し、開けられるところを全部開けて振り回して内部の水を出す。しばらく乾かして、セットしてみる。電源が入って、助かった…と思ったら、キーパッドが反応しないまま、すぐまた切れた。やはりだめか。いやしかし…。何度か繰り返し、あきらめ、あきらめきれず。
最後に、乾燥剤をかき集めてきて、本体とともにビニール袋に密封。がまんして一晩乾燥させる。
翌朝、再び電池をセット。起動する。生きてる!家族にメールを入れる。届いた!電話をかける。かかる!聞こえる!なんと、復活した!その後、一回だけ理由もなく電源が切れたが、その後は正常に動いている。彼は死の世界から再び戻ってきたのだった。なんということか。ノートパソコンを水没させたら生き返る可能性があるとは思えないが、携帯というやつはよほど構造が単純化されているのか、それとも安全策が講じてあるのだろうか。