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仲村和代・藤田さつき著
「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」
(光文社新書 2019年)
名古屋出張の往復で読了。
大量に捨てられる新品の服や恵方巻き。そうした話題がSDGsとからめて新聞にも時々載るようになった。単なるゴミ減量の話ではなく、消費されずにゴミになるムダな生産というゆがんだ世界について、新聞記者が取材して得た現場の様子が書かれている。
なんとなく想像してはいるが、やはりそうなのか、と納得することが多く、驚くような話はないが、そのゆがんだ世界から抜けるのが難しいことに暗澹とする。もっと丁寧にものを作り、もっと丁寧に販売して、収入を減らさずにもっと幸せになれる、そういう例も紹介されているが、なかなか一般化できることではない。
苦悩しながらの取材過程がそのまま書かれているので、好感も持てるがややまどろっこしい。書き方が、というより、事態がそうなのだろう。明らかにおかしいとだれもが思いつつ、だれが悪いわけでもなく、そこから抜けられない泥沼である。それでも、抜け出す道を見つけなければならない。