今泉みね子『ここが違う、ドイツの環境政策』(白水社, 2003)
フライブルクの環境政策等の紹介で有名な著者。読みやすい文章とポジティブな内容で、元気が出る。ドイツ語講座の月刊テキストに連載されていただけあって、各テーマが手短にまとめられているので読みやすい。ゼミで環境活動を考えるのにも使えそう。いいところばかりが紹介されているのだろうとは思う(本人もそう書いている)が、それでいいのだと思う。虚無に喰われることなく、やれるところからやっていくしかないのだから。各章末に、参考HPや団体の連絡先などが記されていて親切。
目次
- ドイツでゴミが減ったわけ
- リユース食器で新事業
- 環境にやさしいゴミの処理
- 楽しく広がる環境教育
- コウノトリでエコロジカルなツーリズム
- エコツーリズムのさまざまな試み
- 自動車交通を減らす工夫
- レギオカルテとジョブチケット
- エコロジカルに通勤する
- CO2削減、省エネへのさまざまな工夫
- 市民の力で再生可能エネルギーを推進する
- エコロジカルな電力供給を市民の手で
- 森の幼稚園
- 躍進するエコ農業
- 環境と健康に配慮するエコ建築
- 一流シェフはエコびいき
- 財テクはクリーンなエコ投資で
- ローカルアジェンダ21はまず小さなことから
- チョコレートから自然エネルギー利用まで
- 地下水を守る
- 「黒い森」を守る
- 環境センターで楽しく学び、発信する
- 都市で自然を復元する
- すぐれた環境対策はどこから来たのか
(p.194より)
市民の環境意識と民主主義意識は無関係ではないでしょう。未来の世代を含めた地球上のすべての人、地球上のすべての生き物が健康で幸せに生きる権利があり、そのための責任はすべての個人が負っているという自覚があってはじめて、すぐれた環境対策は生まれ、成功するはずだからです。
(中略)
日本人がドイツやフライブルクから「環境」を学びたいのなら、個々の対策をまねるよりも前に、このような意識や行動力から学ぶべきではないでしょうか。