人を助けるすんごい仕組み

ほぼ日刊イトイ新聞で、西條氏と糸井重里の対談を読んで買った。帯のコピーは糸井重里
「岩をも動かす理屈はある。」

かなり期待して読んだのだが、読み終わって「あれ?で、その仕組みって?」ともう一回読み直すことになった。基本的に内容は、震災が起こり、無我夢中でできる支援を考え走らせ、それが「ふんばろう東日本支援プロジェクト」として大きく成長した、その記録である。そこにどういう理屈があって、何を考えて、どうやって仕組みを作ったか、ということは、ある程度書いてあるのだけど、あまりにあっさりとしているのでなんだかわかった気にならないのだ。構造構成主義といういかにも難しそうなことを専門とする著者であるから、堅い理論的な説明がどこかにまとめて書いてあるかと思ったら、なかった。

繰り返し出てくるのは、「状況」と「目的」に基づいて「方法」を考えるという「方法の原理」。

…多種多様なプロジェクトは、被災地の「現状」を踏まえ、被災者支援という「目的」を見定めて構築していったのである。(p.203)

あたりまえじゃん、という気がするのだが、たぶん多くの取り組みでそれができていないのだろう。たぶん、自分でなにかの問題解決に取り組もうとしてうまくいかない時に、ふりかえって自分のやろうとしていることを客観的に見てはじめて気づいたり役に立ったりするのではないかと思う。

というわけで、決してハウツー本などではないが、ふんばろうプロジェクトがどんなふうに立ち上げられていったかの記録として読み応えがあるし、そこからもしかしたら非常に有効なものの考え方が身につくかも知れない。なにかやりたいと思っているのに組織を動かすのに頭を悩ませている若者などには、いい刺激になるだろうと思う。