潜熱利用電気あんか

(株)ジェイ・エス・ピーという会社が製造している電気あんか「ぬくぬく」を購入した。

このあんかは、電源コードをつないで1時間半ほどで蓄熱し、あとはコードを抜いても一晩中その熱が持続するというものだ。湯たんぽや、最近流行のレンジでチンして温めて使う「ゆたぽん」などと同じように思うかも知れないが、根本的にこの「ぬくぬく」がちがうのは潜熱を利用している、という点である。

湯たんぽなどの場合、熱いお湯が熱を放出しながら冷めていくだけなので、湯たんぽ自体の温度はまっすぐ直線的に下降していく。ところが「ぬくぬく」では、蓄熱すると内容物が寒天状にゲル化し、それが熱を放出すると固体に変化していく。液体状態から固体の状態に「相転移」するときに出るのが潜熱なのだが、内容物が全部完全に固体化するまでずっと温度一定の状態が続くのである。

水が氷になる場合を想像してもらえばわかりやすい。水を冷やして温度がどんどん下がってくる。しかし0℃になると、水が全部氷になるまではそれ以上下がらない。それと同じことが、「ぬくぬく」では0℃ではなく40℃付近で起きるのだ。中身はパラフィンワックスだということだが、製造元のHPによれば、この会社ではいろいろ好みの温度で相転移させることができるようで、食品保温剤などさまざまな用途の製品を作っているようだ。

なぜこれに注目したかというと、以前から太陽熱を昼間蓄熱して夜間放熱させるうまい方法はないものかと考えていて、潜熱を利用する蓄熱材のことを調べていたからだ。日当たりのいい屋根や壁に蓄熱材を仕込み、昼間の熱を夜間に取り出すことができれば省エネになる。その際、水やコンクリートなどに蓄熱するより、ちょうどいい温度で相転移する物質を使って潜熱を利用できれば効率がいいはずだと思っていた。

規模は小さいし太陽熱を使うわけではないが、この電気あんかにはそんなわくわく感がある。