神の子たち

相談があると研究室にゼミ生が訪ねてきた。海外青年協力隊に応募したいという。ゼミの授業ではいつもどこかおちゃらけていてまじめな顔をあまり出さない学生なのだが、世界をあちこち一人で旅してきたというのは聞いていたので、驚きはしなかった。途上国の環境問題、とくにゴミの問題などについて勉強したいという。私自身何も知らないに等しいが、とりあえずクリーン開発メカニズム(CDM)を使ってゴミを有効に活用する事例があることなどを話した。

その学生が、「神の子たち」というドキュメンタリービデオのことを話してくれた。検索してみると、そこのプロダクションが別のドキュメンタリーをHP上で公開していたので観てみた。

Office Four Production「ゴミ捨て場の子どもたち


聞いてはいた。想像もしていた。しかし、これを観てしまうと、CDMでなんとかできるかも、などという考えが甘っちょろいものであることは明白だ。現場を知らない人間の、机上の空論だった。

この日の朝日新聞朝刊別刷り be on Saturday に、カンボジアアンコールワットのおみやげクッキーの製造販売を通して地元の人々を豊かにしている日本人女性の話が載っていた。こういうふうに、地元の人を育て貧しさを克服して自立していく手助けの仕組みを作り上げなければ、環境問題だけどうこうしようなんてことは絶対にムリなのだろう。

そのことに学生たちが気づくような、そういう授業をしていかねば。