リングプル

PTA会長になると、地域のいろいろな団体の構成員に自動的になってしまう。夕べは地域の中学校が中心になって校区内の幼稚園・小学校・高校・公民分館などを結ぶというネットワークの会議に出席した。タテのつながりをつくって地域の子どもたちを元気にするというふれこみで、中心になるのは年1回のお祭りイベントだが、他にボランティア活動などにも取り組みたいとのこと。

その中で話に出たのが、リングプル(飲料缶の口金のリング)を集めて車いすを寄付しようという話。てっきりこれは都市伝説かなにかだと思っていたので、実際にやっているという学校があると聞いてちょっとびっくりした。102万個集めると車いすを1台寄贈できるそうだ。102万個って…と思ったが、けっこう順調に集まっているらしい。

以前から、それはナンセンスだという話を読んでいたので、初めての会議の場で目立つまいとは思っていたのだがつい発言してしまった。リングプルだけ集めるのは、かつてその部分が本体から外れていた時代に散乱してゴミになるのを見かねて始まったのだろうが、今は意味がない、缶本体ごと集めれば102万個も集めなくても車いす1台分くらいの売却益は得られるだろうに、というようなことを言った。

だけど、やはり事情はあるのだ。缶ごと集めるとはるかにかさばって保管場所に困るし、洗ってなければ臭うし虫も出る。その管理は子どもたちだけでは手に余る。リングプルだけならそのへん容易で、少しずつたまっていく様子を目で確認でき励みになる。実際子どもたちは、自分で集めるだけでなく周辺のガソリンスタンドやスーパーなどにも回収箱を置かせてもらうよう交渉したという。缶本体だとそれは難しいだろう。集めたリングプルは宅配便が取りにきてくれて、北海道にあるリングプル再生ネットワークに送られる。この手軽さも理由の一つで、こうでなければ教員かPTAの手を借りざるを得ない。私の小学校でもPTAで以前アルミ缶回収をしていたが、担当者の仕事がかなり大変だということでやめてしまっている。

缶全体をリサイクルできるのに小さなリングだけちぎって集める効率の悪さ、わざわざ北海道まで宅配で送ることの環境負荷はどうなんだという批判もうかぶが、現場の実情を考えればこれもひとつの解なのだと納得できる。環境よりも、実践できる教育効果の方を小中学校では優先しても許されるだろう。ただし、同じことをいい大人がやるのは愚かな自己満足である。その労力をもっと他のやり方で有益に使うべきだろう。