内蒙古緑化ツアー10

大連の朝食はバイキング。中華もあるが、みそ汁、納豆もある。そういうホテル。サラダにソーセージにコーヒーにする。次第に現実に戻っていく気分。
午前は、大連ソフトウエアパーク(map)の見学。市街の南のはずれに一大企業団地を造っている。インドと同じように、世界、とくに日本のアウトソーシングの中心地になることをねらっている。そういう話を聴き、オフィスを見学したり。2・3日前までいた農村の風景とのギャップがあまりに大きく、現実感がない。しかしあんな田舎の町でも日本語を学ぶ学生がたくさんいるのは、決してみんなが日本に行きたいと思っているからではなく、日本語能力を身につけておけばこうした都会でいい仕事に就ける可能性があるからなのだろう。見学内容自体に興味はなかったが、そのつながりはずしりと感じられた。
昼に何を食べたかはもはや覚えていない(たぶん中華)。午後は日本の下着メーカーグンゼの大連工場(大連坤姿時装有限公司)を見学する。玄関にはいきなり色とりどりのブラジャーが展示されている。ここはブラ専門の工場。すべて日本向けだ。社長自ら説明をしてくださり、3グループに分かれて製造過程を見学する。ひとつのブラを作るのに30ものパーツを縫い合わせていく。その布を切るのも、縫い合わせるのも、すべて手作業なのだ(いやもちろんミシンは使うけど。)その作業を黙々とこなしているのは、20代前半の女性達。8人部屋の寮に住み、月1000元(15,000円)程度の給料で働く彼女たちのおかげで、あのブラはあの値段で日本で売られている。「(ブラは)高いと思っていたけど、もっと高くてもいいという気がした。」とは、見学し終わってから一人の女子学生が言った言葉だ。

カンヂカにいたとき緑化ネットワークの人が言っていた。経済発展著しい中国だが、それでも底辺の労働者の賃金はほとんど上がっていないらしい。なぜなら、その賃金でも働く人がいくらでもいるからだ。貧しい農村の生活から見れば、そんな賃金でも魅力的なのだ。そうした単純労働者と一線を画すには、語学力や技術力を身につけるなどする必要がある。だからあの学生達はあれほど必死に日本語を習得しようとしているのだろう。明確な目標もなく学ぶ日本人の英語とは、気合いの入れ方が違うわけだ。
夕食は中華でさよならパーティ。軽工業学院の学生達と写真の撮りあい。食後、世界最大級?という星海公園(map)へ。最後の夜を美しい夜景で飾った。ホテルへ戻って、ふりかえりファイナル。みなそれぞれに、日本を支える中国の労働者の現実に、認識を新たにしていたもよう。大連泊。(後日up)