大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (光文社新書)

仲村和代・藤田さつき著
「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実
光文社新書 2019年)

名古屋出張の往復で読了。

 

大量に捨てられる新品の服や恵方巻き。そうした話題がSDGsとからめて新聞にも時々載るようになった。単なるゴミ減量の話ではなく、消費されずにゴミになるムダな生産というゆがんだ世界について、新聞記者が取材して得た現場の様子が書かれている。

なんとなく想像してはいるが、やはりそうなのか、と納得することが多く、驚くような話はないが、そのゆがんだ世界から抜けるのが難しいことに暗澹とする。もっと丁寧にものを作り、もっと丁寧に販売して、収入を減らさずにもっと幸せになれる、そういう例も紹介されているが、なかなか一般化できることではない。

苦悩しながらの取材過程がそのまま書かれているので、好感も持てるがややまどろっこしい。書き方が、というより、事態がそうなのだろう。明らかにおかしいとだれもが思いつつ、だれが悪いわけでもなく、そこから抜けられない泥沼である。それでも、抜け出す道を見つけなければならない。

教えない授業

教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方

鈴木有紀著『教えない授業 美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方』(英治出版 2019年)

Kindle版読了。

 

「問いを見いだし、自ら考える力」を育てるひとつの方法として「対話型鑑賞法」を紹介する本。現場として紹介されているのは小中学校など。そういう力をつけた者が大学に入学して自ら学んでくれるのが理想ではあるが、現実には大学に入ってもその力のない学生が多い。したがって、大学の教育現場でも役に立つと思い読んだ。もともと美術鑑賞の場が前提だが、他の教科でも十分使える場面がある。

 

一つの映像(視覚教材)を見て、気づいたこと、考えたこと、疑問などを話し合う(単に感想を問うより答えやすい問い方)。解釈が垣間見えたら「どこからそう思った?」と問う。このとき、「なぜそう思う?」ではなく「どこからそう思った?」と問うのが大事。「なぜ」ではその見方を示した動機を問われているように感じる。問い続けても論理性を放棄して主観に留まる恐れがある。「どこから」と問うと、感想や考えの根拠を聴くことになり、論理的思考が促される。

 

教材は、見せたいものより、見たくなるものを。また、既知のことと未知のことがバランスよく含まれているものを選ぶのが大事。また、ナビゲーターはあらかじめ自分でよく教材を見て徹底的に言語化しておくこと。

 

教師が知っている情報を提供するタイミングも大事。正解が存在していてそれを当てるような形になってしまっては意味がない。このあたりが、従来通りの講義型授業に使うには難しいところ。単純そうに見えて、教員の習熟が必要だろう。

 

 

以前から共同研究として、大学での学びを下支えするリテラシーについて同僚たちと議論をしているが、学生の多くはものを見ても見えていない、ということがよく話題になる。窓の外の風景を言語化させる、などの訓練を積まないと見えるようにならない、という話があった。そういうことと絡めると、効果的に利用できる方法のように思えた。VTS (Visual thinking strategy)というそうな。

 

リアルサイズ古生物図鑑

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 古生代編

土屋健著『リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』(技術評論社 2018年)

生協で購入。

 

おもしろい。よく知った(知らないのも多いが)古生物が身の回りの風景の中にいたらどのくらいの大きさのものとして存在するのか、現実風景に再現CGをうまく溶け込ませて見せる図鑑。恐竜や哺乳類などではそう意外性もないかもしれないが、カンブリア紀のバージェスモンスターズなどでは、大きさの実感がない場合も多いので、そういう点でもいい。なにしろ再現図が非常にきれい。見るだけで(ほぼ見るだけの本だが)楽しい。

スマホデビュー

これまでガラケーiPod touchWiFiルータでやってきたが、家族のスマホ更新の際に「一緒に替えたら全員安くなるから」という誘い文句に乗せられて、ついにスマホデビューした。しかしiPhoneではなくGoogleのPixel 3aというやつなので使い方がいまひとつ慣れない。結局、ガラケーを置き換えるだけで3台持ちなのは変わらないのだった。

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スマホデビュー

 

銃夢

銃夢(1)

木城ゆきとのマンガ「銃夢」 Kindle版全9巻読了。

映画「アリータ バトルエンジェル」を観て、これはやはり原作も読みたいと思い、まとめ買いしてほとんど一気読み。古くささを感じさせない、よく作り込まれたストーリー。映画化にあたって使われた部分と改変された部分など意識しながら楽しんだ。電子書籍化にあたって収録されたという旧版のエンディングも読んでしまったが、さて正史であるLast Orderも続けて読むかどうか。

 

絶滅の人類史

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

絶滅の人類史  なぜ「私たち」が生き延びたのか

更科功著 NHK出版 2018年


kindle版読了。

 チンパンジーと共通の祖先から分岐して現在に至るまでのあいだに、世界には何十もの種類の「人類」が現れては消えていった。かつては順に一直線に進化してきたと思われていたが、今では同時に何種類もの人類が並存していたことがわかっている。そして、我々ホモ・サピエンス以外の人類はすべて絶滅した。

 そうした人類たちの誕生と絶滅の歴史について、最新の知見を手短にまとめた本である。とても読みやすく、わかりやすく整理されている(もっともたくさん出てくる人類名になじみのない人は、その区別に苦労するかもしれない)。少ない証拠から研究者がいかに仮説を組み立てていくか、その論理についても丁寧に解説されていて好感が持てる。この分野は新しい化石の発見や新しい分析の登場で通説が大きく変わることがあるので、全体像をまとめてもらうのはありがたい。生物学の授業で話す内容をアップデートしなければ。

そもそも島に進化あり

そもそも島に進化あり (生物ミステリー)

川上和人「そもそも島に進化あり」

技術評論社 2016年)

Kindle版読了


途中から苦痛だった。

島という環境で生物が独自の進化をする。そのことをいろいろおもしろく紹介してくれると思ったのだが、あまり面白い生物の話はなかったという印象。島の定義から始まって、島に生物がやってくる手段、島で独自の進化が起こる理由など、島嶼生物学の基礎からまじめにカバーしている。その割に文章に頻繁におふざけが挿入されていて、次第にウザくなってくる。教科書を目指しているとは思えないが、読み物にしては基礎の理屈ばかり。少し熱が入るのは島の生物を脅かす外来種の話くらい。ちょっと残念。