残念なるカド

この前、春アニメの「正解するカド」がメチャクチャ面白い、と書いた。

12回で終わって、すでに各所でため息と怒号が飛び交っているが、非常に残念な感じで終わった。前半期待させられただけに、後半のがっかり感ははんぱない。

噂では、25回の予定だったのに12回に縮められたとかなんとか。たしかにいろいろすっ飛ばした感はある。

なんにせよ、楽しみがひとつなくなって寂しくなった。

ソーラー女子は電気代0円で生活してます!

ソーラー女子は電気代0円で生活してます!

(フジイチカコ著 カドカワ 2017年)

マンガで書かれているので20分で読了したが、また読み直したくなる。

 震災後に省エネ生活に慣れて契約アンペア数を次第に下げていき、電気代が安くなるのが楽しくてついには電気の契約を解除した、というマンション一人暮らしの女性の話。決して「温暖化防止のため」とか「原発反対!」とかいった肩肘張ったスタンスではなく、楽しんでいろいろ工夫している様子に好感が持てる。冷蔵庫を使わないのはハードル高そうだな、とか、大阪の夏にエアコンなしは無理!とか、思うところはあるが、解除まで行かなくてもいろんな工夫をして節約する生活を楽しみたいな、とうらやましく思う。一人暮らしだったら自分でもやってみたいところ。

キロワットアワー・イズ・マネー

キロワットアワー・イズ・マネー ~エネルギー価値の創造で人口減少を生き抜く~ (いしずえ新書)

(村上敦著 いしずえ新書 2014年)

 大学のドイツ短期研修プログラム「ヨーロッパエコスタディ」でも何度かお世話になっているフライブルク在住の村上敦氏の本。タイトルやカバーのあおりを見ると、自然エネルギーで地方を活性化しましょう!という、わりと気楽で前向きな印象を受けるが、読んでみれば全然ちがう。このままいけば2050年には日本の地域経済は崩壊し生活インフラも壊滅し地方の半数は消滅するのが避けられないということを、本の半分以上を使って強調してある。それは、これまでさんざんいろんな地方でいろんな人の前で講演してきて、いくら言ってもこの人たちは自分の置かれた状況がわかってない!と実感したそのいらだちを如実に表しているものだ。太陽光発電補助金とか電気自動車の公用車とか、そんなものあなたの街の役には立たない(「おわりに」より)といった指摘に耳の痛い自治体は多いのだろうと思う。この本は自然エネルギー普及の本などではなく、地方経済についての本なのだ。

 過去数回、ヴォーバンの案内をしてもらったことがあるだけだが、もっとじっくりお話をうかがうべき方だということがようやくわかってきた。もったいないことをしてきたのだな。Facebookでフォローさせていただいているが、いろいろ刺激的だ。

彩生館まつり

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6月25日、和泉市のリサイクルプラザ彩生館の20周年を記念したイベントに参加した。

「ソーラークッキング お日さまをみんなの力に」

と題して90分弱のお話しをさせてもらった。

 あいにく当日は予報から確実に雨ということで、実演は最初からあきらめ、できるだけいろいろなクッカーを紹介して、参加者数によっては「ききょう」の作成をしてもらおうと思っていた。

 幸い雨はそれほどひどくなく、ゼミ生の助力も得られたので、ありったけのクッカーを運び込むことができた。ひとつひとつ特徴や使い勝手を紹介しながら、ソーラークッキングの基本的な原理や考え方を説明。見栄えの派手な高価な既製品に目を奪われるが、実は安価に十分使えるものが作れるということを知ってもらった上で、ガスレンジ用下敷きシートを使って「ききょう」を即席で作成してもらった。手間は大してかからずあっという間にできてしまったが、さあ何人の方が実際に使ってくださるかな。使ってみないと正直太陽のパワーを実感しにくいとは思う。

月は無慈悲な夜の女王

月は無慈悲な夜の女王

ロバート・A・ハインライン著 早川書房

Kindle版読了。

 読んでおくべきSF傑作のひとつとして推薦されていたので、何気なくKindleで見つけて読んでみた。今調べて驚いたが、1965年に連載されていたという半世紀前の作品なのだな。まさにクラシック。しかしそんな古くささはまるで感じなかった。

 

 ひそかに知性を獲得したコンピュータの支援を受けながら、地球連邦の搾取から独立を目指す月の植民地の人々の戦いを描いている。月での独特な生活様式、反政府活動を組織化していく過程、そしてクーデターと反撃と結末への活劇、どれも詳細で活き活きと書かれていて読み応えがあった。

 地球連邦の搾取と宇宙植民地の独立といえばまさにガンダムではないか。きっとこの古典はその後の多くのSF作品に多大な影響を与えてきたに違いない。

ねずみに支配された島

ねずみに支配された島

(ウィリアム・ソウルゼンバーグ著 文藝春秋 2014年)

 

広島大学出張中に読了。

前著「捕食者なき世界」がすばらしく面白かったソウルゼンバーグ。この本も期待に違わず大変面白く一気に読ませてくれた。

世界中の島々で繰り返される、外来動物の侵入と在来鳥類等の大量死。それに気づき、滅び行く生物たちを救うために必死に抗う人々の終わりなき苦闘の物語である。主な舞台はニュージーランド、それに加えアリューシャン列島、カリフォルニアなど各地に渡る。外来動物として問題になるのは主にねずみだが、他にもネコ、キツネなども登場する。何千万羽という鳥の大群が、わずかな数のネズミの侵入で絶滅に向かう現実が描かれる。多くの場所で手後れなのだが、いくつかの島でネコやネズミを駆逐して絶滅しかかった鳥を回復させることに成功する。しかし、一箇所で成功しても別の場所で同じやり方が通用するとは限らないし、新たな障害も発生する。関係者の苦悩が切実に感じられる。

外来種問題を書いた本は山ほどあれど、これだけ読ませる本はなかなかない。現場で必死に苦闘する人々に焦点を当てて、彼らの物語として描いている。外来種問題はそれなりに知っているつもりだったが、ネズミと鳥のことはもともとあまりなじみがなかったので勉強にもなった。