キロワットアワー・イズ・マネー

キロワットアワー・イズ・マネー ~エネルギー価値の創造で人口減少を生き抜く~ (いしずえ新書)

(村上敦著 いしずえ新書 2014年)

 大学のドイツ短期研修プログラム「ヨーロッパエコスタディ」でも何度かお世話になっているフライブルク在住の村上敦氏の本。タイトルやカバーのあおりを見ると、自然エネルギーで地方を活性化しましょう!という、わりと気楽で前向きな印象を受けるが、読んでみれば全然ちがう。このままいけば2050年には日本の地域経済は崩壊し生活インフラも壊滅し地方の半数は消滅するのが避けられないということを、本の半分以上を使って強調してある。それは、これまでさんざんいろんな地方でいろんな人の前で講演してきて、いくら言ってもこの人たちは自分の置かれた状況がわかってない!と実感したそのいらだちを如実に表しているものだ。太陽光発電補助金とか電気自動車の公用車とか、そんなものあなたの街の役には立たない(「おわりに」より)といった指摘に耳の痛い自治体は多いのだろうと思う。この本は自然エネルギー普及の本などではなく、地方経済についての本なのだ。

 過去数回、ヴォーバンの案内をしてもらったことがあるだけだが、もっとじっくりお話をうかがうべき方だということがようやくわかってきた。もったいないことをしてきたのだな。Facebookでフォローさせていただいているが、いろいろ刺激的だ。