日本縦断クズ採集

ついFacebookにばかり書いてブログを放置していたが、8月22日から28日まで7日間、友人の調査研究につきあって九州から青森まで日本縦断ドライブをしていた。2種類の植物、クズとヨウシュヤマゴボウを日本各地でサンプル採集するのがその目的。研究しているのは、米国ジョージア大学のMauricio教授。デューク大時代の同期の友人で、去年12月に来日したときにこの調査旅行の話が始まった。

クズは、アジア原産で日本からアメリカに持ち込まれてアメリカ東南部にはびこり、大害草kudzuとして問題になっている。一方、ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡、英語ではpokeweed)はアメリカ原産でアジアに侵入、日本でははびこるというほどではないが、中国ではかなり繁茂しているらしい。この2種の原産地域と侵入地域でそれぞれ集団の遺伝的組成を調べることで、侵入集団の元となった地域を明らかにしたり、侵入に伴う遺伝的な変化などを調べたいということである。国から大きな補助金を受けて、アメリカ・中国・台湾で精力的に調査を進めており、今回初めて日本でも調べることになった。私はその「現地案内人」としてお供した。

はびこるクズ

クズの花。甘い香りがする。

ヨウシュヤマゴボウの実。有毒。

どちらの植物もありふれた雑草なので、探すのが困難なわけではない。ただ、地域ごとの遺伝的組成を調べるので、約100kmおきにサンプルがほしい。どこでもいいから100kmおきに、と言われてもとりとめがないが、とりあえず高速道路を走りながら100kmおきにSA,PAで採集という形にした。細かく地域を網羅することはできないが、第1弾だからできるだけ広範囲からサンプルすることに意義がある。その結果がこれ。

黄色がクズ採集地点、紫がヨウシュヤマゴボウ

福岡空港からスタートしたので九州だけ西側と東側両方サンプルしたが、あとは中国道山陽道名神・東名・東北自動車道を一筆で通過し、青森でUターンして秋田空港がゴール。クズは27箇所、ヤマゴボウは8箇所採集した(クズはどこでも見つかるが、ヤマゴボウはそう都合よく生えていなかった)。北海道・四国・沖縄、および本州日本海側はもし必要がありそうなら今後の検討とする。関東が手薄に見えるが、すでに都内と成田は採集済みなので。

全走行距離は約2900km。ひとりで一日中毎日なんて走れるかと思ったが、やってみるとそんなに辛くもなく、借りたプリウスの走り心地も気に入った。よくしゃべる男の英語に1週間つきあっていたら、すっかり英語頭になった。もっとも、こちらはもっぱら相づちを打つばかりであまり長くしゃべらないので、スピーチ能力はそれほど改善しなかったが。