働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
長谷川英祐

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)


一定割合の働きアリは働かない、というのは有名になった話。それがなぜ巣の運営にとっていいことなのか、という謎解きをはじめとして、昆虫の社会の複雑さ、おもしろさを解説し、それを人間社会と結びつけたお話しがまた興味をそそる。専門的な話とくだけた話がいいさじ加減でバランスされていて、読者を飽きさせないいい科学本に仕上がっていると思う。
ただし、最終章において、自然選択説では説明できない、というような書き方をしているのは誤解を招くのではないかと危惧する。単に、変動環境での適応ということではないのだろうか。