クワガタムシが語る生物多様性

クワガタムシが語る生物多様性 (創美社一般書)
五箇公一著
クワガタムシが語る生物多様性 (創美社一般書)

前半は生物多様性の重要性を解説する教科書的な内容。後半は著者個人の研究歴に基づいた個別の生物とそれにまつわる話。国立環境研で侵入生物の問題を長く扱い、内外で目覚ましい活躍をしている研究者だけあって、語り口はやさしくわかりやすい。教科書部分の内容はごく標準的なもので、私個人としては後半の研究過程を含んだ具体例の方がおもしろかった。何度も耳にしてきた話のはずだが、結果だけでなく途中のいろいろな事情も書かれていて、著者の研究活動に対する姿勢なども読み取れて敬服する。カエルツボカビ病日本上陸の顛末などは、全く知らなかったので驚きだった。