吉報

3年前の3月に卒業したゼミ生のK木君から会いたいというメールをもらう。はじめて指導した年のゼミ生のひとりで、まじめで熱心で印象深かった学生である。いろいろあって、あまりいい評判のない会社に就職してやっぱり1年程度で辞めてしまい、その後どうなったか気にはしていた。なんなりと就職してなんとかやっているのだろうと漠然と想像していたが、今会いたいというその理由をはかりかねた。

久しぶりに会った彼は、なんだか大きくなっていた。ほっそりとしたイメージだったが、だいぶん肉がついたようだ。車で来たというのでとりあえず喫茶店に入る。さて、と身構えると、1枚の書類を見せてくれた。
『貴君を合格とします』
あ、そーか! とやっと納得できた。そういう用件か! 当時から公務員志望だった彼は、苦節4年目にしてようやく合格を勝ち取り、それを知らせに来てくれたのだった。その気持ちがうれしいではないか。

ゼミの思い出など話していると、卒業後どうなったか音信不通の学生が何人もいることを思い出した。あまり気にもかけてなかったが、みんな元気でやっているのだろうか。ゼミ生間の連絡もほとんどないらしい。

祝杯はまたあらためて、ということで別れたが、暖かい気持ちで電車に乗った。K木君、おめでとう。これからの活躍を期待します。