留学生の町歩き

泉佐野関空対岸地域の魅力を留学生の目で発見してもらおうという「留学生による町歩き企画」に付き添って、一泊二日の小旅行をしてきた。主催はNPO法人泉州佐野にぎわい本舗で、南海電鉄などが協賛、うちの大学の国際センターが協力している。阪南大生と合わせて、中国・台湾・韓国・ネパールの留学生総勢13名が参加した。
まず泉佐野駅からほど近い旧新川家住宅に行く。ここは古民家を改造して泉州の昔の生活を彷彿とさせる展示などもしてあるが、広々とした畳の間に布団を敷いて宿泊するのは初めての試みだという。すぐ近所にある大阪最古の銭湯「将軍湯」で風呂に入り、浴衣に着替えてから、駅前でふとん太鼓の太鼓台のかつぎ合いを見物する。プロの手で着付けされた留学生達は、浴衣姿が似合っていた。夕食は、改造された同家の蔵の中でライブ演奏つきのパーティ。天井の高い古民家の夜は、とても涼しかった。
こどもふとん太鼓
翌日は、朝からテレビ大阪の密着取材を受けながら、家の説明や周辺の古い町並みの見学、太鼓台の春日神社への宮入りなどを見物する。このときの様子は夕方放映されたが、大学の名はまったく登場せずちょっとがっかり。午後からはりんくうゲートタワー、プレミアム・アウトレット、淡輪の海水浴場と展望浴場など、移動しつつ盛りだくさんの見学コースで、帰宅したのは夜10時半だった。
この企画のミソは、こうした旅体験を日記として留学生達が自国の言葉で発信することにある。それがどの程度のものになるかはしばらく待たないとわからないが、その記述に惹かれた外国人観光客が関空からやってきて町を歩き、それを目にした町の住人が自分たちの持っている文化的財産に対する認識を新たにする、という波及効果を狙っている。日本人でもなかなか知ることのない地域だが、歩いてみるとちょっとおもしろいものがそこここに点在している。だれかがなにかしなければ、まもなく消されてしまう歴史の断片がたくさんある。それを、守りたいと願う。
痛恨なのは、途中でデジカメがおかしくなって、それ以上撮影できなくなっただけでなく、撮影済みのデータも取り出せなくなってしまったこと。せっかくの浴衣姿の写真がほとんど残っていないのが残念!