安全過剰

 覚え書き。兵庫県でため池に落ちた子供2人が死亡した事件と、去年台風23号の大雨で堤防が決壊して豊岡に大被害を及ぼした円山川の堤防強化&河床掘り下げ工事について。二度と起きてほしくないから、危険な箇所には絶対入れないような柵を作り、堤防を強化し高くし河床を掘り下げる。それはあまりに当たり前の反応ではあるのだが、それで失われるものがあることに気づかない、あるいは気づいても声にしにくいことがもどかしい。

 誰も絶対入れないようにしてしまったため池は、周辺住民にとっては存在しないのと同じことであり、水辺としての価値は半減する。円山川はコウノトリが野生復帰した際の餌場として自然豊かな川にされようとしていたのに、工事で破壊されてしまう。安全の代償としては小さな犠牲のようではあるが、形にできない精神的な損失は小さくはないように思える。

 しかし、「人の命とどっちが大事なんだ!?」と問われれば答えは決まっている。そうした問いに帰結させないことが重要なのだけど。どうしたらいいのか。