絶滅の人類史

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

絶滅の人類史  なぜ「私たち」が生き延びたのか

更科功著 NHK出版 2018年


kindle版読了。

 チンパンジーと共通の祖先から分岐して現在に至るまでのあいだに、世界には何十もの種類の「人類」が現れては消えていった。かつては順に一直線に進化してきたと思われていたが、今では同時に何種類もの人類が並存していたことがわかっている。そして、我々ホモ・サピエンス以外の人類はすべて絶滅した。

 そうした人類たちの誕生と絶滅の歴史について、最新の知見を手短にまとめた本である。とても読みやすく、わかりやすく整理されている(もっともたくさん出てくる人類名になじみのない人は、その区別に苦労するかもしれない)。少ない証拠から研究者がいかに仮説を組み立てていくか、その論理についても丁寧に解説されていて好感が持てる。この分野は新しい化石の発見や新しい分析の登場で通説が大きく変わることがあるので、全体像をまとめてもらうのはありがたい。生物学の授業で話す内容をアップデートしなければ。