地球の破綻
(安井至著 日本規格協会 2012年)
積ん読解消シリーズ。
1972年にローマ・クラブが出した「成長の限界」は、その当時にできる未来予測を示し、その展望で衝撃を与えたという。それから40年経ち、状況も変化し、また予測の精度も変化したことで、改めて21世紀の成長の限界を検討してみたのがこの本である。
地球が破綻に向かっていることは誰の目にも明らかなような気がするのだが、本気でそう思って心配している人は実は少ないのかもしれない。だからこそ一国の首相が相も変わらぬカビ臭い「成長」という言葉をお題目のように唱えて、五輪だ万博だと浮かれているのだろう。
いろいろなことが破綻に向かっているが、劇的な改善がなされなければならないのが、エネルギー、元素(主に金属資源)、生物多様性の3つであると著者は言う。まったく同感である。人口と食料の問題についてはなんとかなるだろうと著者は考えているが、私自身はやや懐疑的である。
環境問題を教えるようになって、最初に参考にさせてもらったのがこの人の著書やウェブサイトだった。基本的なスタンスやバランスのとれた書き方がしっくりくる。勉強になる一冊だ。