ヒトはなぜ病気になるのか

ヒトはなぜ病気になるのか (ウェッジ選書)

長谷川眞理子著 ウェッジ 2007年)

 

積ん読解消シリーズ。

怪しい健康本ではない。もちろん、進化研究界隈の人なら著者名を見ればそんなことはすぐわかるのだが、上の画像を得るため検索したら似たタイトルの怪しい本が山ほど出てきたので念のため。

医学は、人がどのようにして(=How)病気になりどうすれば治るかを研究してきたわけだが、進化学は人がなぜ(=Why)病気になるかということについて一定の解釈を提供する。この本は、進化から「病気」というものについて考えるいわゆる「ダーウィン医学」についてわかりやすく書かれた入門書である。

進化本では定評のある長谷川氏のわかりやすい解説で、たぶん初心者でも難なく読めると思う。その分、その筋の者にはそれほど驚くような話はない。今回改めて面白いと思ったのは、妊娠中の母親と胎児の間に起こる親子間対立の話だった。それも含め、今まであまり人類の進化について多くを触れなかった生物学の授業で、もう少しヒトの話をするためのネタにできることがいろいろあるなと思った。