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ストラスブールのまちづくり

ストラスブールのまちづくり: トラムとにぎわいの地方都市

ストラスブールのまちづくり: トラムとにぎわいの地方都市

 ドイツ国境近くのフランスの地方都市ストラスブール。過去2回、ヨーロッパエコスタディプログラムで訪れたときには、大聖堂がきれいな観光都市、というくらいの印象しか持たなかったのだが、実はフランスの環境都市として名高い。トラム(日本ではよくLRT=Light Rail Transitという)を導入して、自動車に占領されていた市の中心を歩行者と自転車の多いくつろげる場所に変え町ににぎわいをもたらしたとして、まちづくりを進めたい日本からの視察団が大勢やってくる。ストラスブールがどのようにしてそうしたまちづくりに成功したのかを、関係者へのインタビューや公開されている情報をもとにきめこまかに書き記した本である。

 トラムを導入したから町がにぎわった、という単純な話ではないし、エコのためにトラムにしたわけでもない。車が多いと住みにくい。住みやすい町にしたい。そうした大きな目標のもとにビジョンが描かれ、それに向けて辛抱強く合意が取りつけられていった。カギとなるのは民主主義と地方分権だろうか。住民の参加意識がなければ自動車の利便性を犠牲にする政策は通らないだろうし、鉄道敷設以外にももろもろの都市開発が自治体で自律的に出来ないと全体を見渡した統合計画は進められない。ドイツのフライブルクといいこのストラスブールといい、視察してもそれを日本の都市で真似するのが容易でない理由はそこにある。

 こうした街の変革のプロセスは、ただ街を訪れただけでは何もわかりようがない。やはり事前勉強は大切だと実感した次第。来春も行く予定なので、今度は新たな目でよく見てこよう。