ドイツの脱原発、そして倫理

桃山学院大学キリスト教論集47号 p.87-104 に掲載された、永井清彦先生による「ドイツの脱原発,そして倫理」と題する論文(研究ノート)。
脱原発を考えるとき非常に参考になる。
去年、キリスト教学会研究会でのお話を聞いた時には十分につかめなかった点が、これを読むとよくわかる。

ドイツは、いったん脱原発にかじを切った後、それを先送りする後ろ向きな姿勢に傾きつつあった。そのとき「フクシマ」が起こった。即座にメルケル首相は倫理委員会を設置し、その提言により脱原発への道が改めて決定づけられた。

おもしろいと思うのは、脱原発の根拠が「倫理」で語られるということだ。リスクについて、単に技術的な安全性の議論ではなく、倫理的な立場で議論するということ。日本ではついぞ見られないように思う。日本には倫理がない、というのは、この論文の結びの部分でも触れられている。


この論文、こちらのページの「キリスト教論集」から読むことができる。CiNiiにはまだ収録されていない模様。