幸せな未来のつくり方

幸せな未来のつくり方
幸せな未来のつくり方 ー「エコ」を超えてー
枝廣淳子+JFS (海象社 2010年)


「エコ」な生活は「幸せ」な生活につながる、という話。
幸せというのは主観的なものだから説得しにくい面もあろうが、逆に「エコ」かどうかはともかくそういう生活いいな、と思ってくれる人をとりこめるのかも。


個人的に、私の「いいな」と思うものに近い話が多く、そのせいであまり目新しい話はなかったかも。脱所有・脱物質・脱貨幣、地域によるリード、市民参加によるつながり、などがキーワード。不満なのは、最後にあとがきもなにもなく、その結果ここまで読んできた個々の内容がうまくつながらないまま放り出されること。むろんそれはもう一度まえがきに立ち返ればいいだけのことなのだが。


初めて知った言葉に「バストリガー方式」というのがある(p.116)。公共交通を拡充する時に、事前に設定した採算ラインを満たさなければ元に戻す、という約束を、バス事業者と地域住民などとの間で締結する仕組みだそうだ。
住民は「高いから乗らない」、バス会社は「乗客が少ないから料金高め、本数少なめ」と、お互いマイナスの方向を向いている関係が多いわけだが、これをポジティブな向きに変える。たとえば、「料金半額にするからみんな乗ってね。1年経って、前より収支がよかったら続けます。悪かったら戻します。」というようなことにする。
この仕組みは、バス会社と一般市民を、サービス提供者と客という関係から、ともに公共交通をつくり支える者にする。そうした意識転換が可能なスケールというのがある程度限定されているかも知れないが、いいやり方だと思う。


これを大学の通学バス路線に使えないものかな。