“想い”と“頭脳”で稼ぐ

“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
小暮真久著 日本能率協会マネジメントセンター 2009年

Table-for-Twoという取り組みがある。飽食の人と飢える人が同じテーブルに座り、飽食側の皿から飢える側に少しおすそわけすることで、どちらもより健康に、より幸せになれる、というコンセプトである。社員食堂の定食などで、カロリー控えめ・量控えめのメニューを同価格で提供し、その価格から20円を途上国の給食提供事業に寄付する。こうした仕組みをつくりビジネスとして定着させようとしているNPO法人TABLE FOR TWO International事務局長による社会起業実践ガイドという。社会貢献事業が自腹の慈善活動としてしか認知されにくい日本で、どうやって人並みの給料をきちんともらえるビジネスにしていくか、そのノウハウ、とまではいかないが、考え方について書いた本である。ネットでよく見る日本ユニセフ批判にもあるように、「人の善意の寄付金から自分の給料とるなんて論外」という考えが変わらないと、社会事業は日本になかなか根付かない。経営コンサルタント出身の著者だからこそ書ける、論理的な戦略にもとづいた社会起業ガイドである。


ちなみに、大学生協でこういう取り組みができないかと話をしてみたら、すでに学生から提案があって検討はしている、とのこと。ただしうちの生協食堂はずっと赤字で、なかなか難しいかも知れない。一品ずつ好きに選ぶタイプの食堂ではそもそもやりにくいだろうな。それに、学生は食べ過ぎよりもまともな食事をしないことの方がずっと問題だし。