コンビニ弁当16万キロの旅

コンビニ弁当16万キロの旅―食べものが世界を変えている
コンビニ弁当16万キロの旅―食べものが世界を変えている
コンビニ弁当探偵団 (著), 千葉 保 (監修), 太郎次郎社エディタス (2005/08)


ひとつのコンビニ弁当を材料に、食材が世界中から運ばれている現実を浮き彫りにし、そのフードマイレージバーチャルウォーターの問題をわかりやすく語る本。そう信じて購入したのだが、あいにくそれは少し裏切られた印象になった。
上のようなことはもちろん取り上げられている。タイトルからして、たぶんそれが一番著者たちの書きたかったことなのだろうと思う。しかし、そのへんの話題は本の半ばを過ぎてからしか出てこない。前半はコンビニの仕組みと、コンビニ弁当の作られ方の解説に割かれている。そのため、全体として「よくわかるコンビニ弁当」の本のようになってしまっていて、問題提起が弱くなってしまっている気がする。本の構成も、イラストが豊富で、ほとんどの漢字にふりがなが振ってあり、小学生向けを意識している。それは別にいいのだけど、そのために毒気(批判的視点)が抜かれてしまったのではないかと思われる。
素材がどれだけの距離を運ばれてくるか、それぞれの産地でどれほどの水が使われているか、という数字だけでなく、それだけ世界からかき集められていながらあの値段で売られているということは、どんなに安く買い集められているか、ということにも言及してほしかった。なによりも、副題にある「食べ物が世界を変えている」という視点が弱い。コンビニに取材協力してもらっているだけに、批判的なトーンは薄めざるを得なかったのだろうか。