キング・コーン

キング・コーン [DVD]
キング・コーン [DVD]


キング・コングではない。副題は「世界を作る魔法の一粒」。世界中の(とくにアメリカの)食べ物はみんなトウモロコシでできている、という話。ふたりの青年が、1エーカーの土地でトウモロコシを育てながら、そのトウモロコシがどこに行ってどうなるのかを取材する。遺伝子組み換えされた除草剤耐性トウモロコシは、家畜のエサとなり、あるいは高果糖コーンシロップとしてお菓子をはじめあらゆる食品に加えられる。マクドナルドでハンバーガーセットを食べれば、大量のトウモロコシを食べていることになる。
大量に作られるトウモロコシは、アメリカの補助金政策で維持されており、それがきわめて安い食料品の供給を支えている。そうした裏事情を、ふたりの青年は告発するのでなく、敵視するのでもなく、のほほんとした表情で、ただ描き出していく。


開始早々に、あるいはDVDパッケージに、「僕たちの寿命は親より短くなる」というようなことが出てくるが、これについて本編中にはひとことも触れていない。「生半可なホラーの百倍怖い」という評者の言葉もあまりピンと来ない。問題視されているのは、遺伝子組み換えなどではなく、アメリカの農政である。しかし、だからどうしなければ、という風でもない。なるほどね、ということで、勉強にはなった。