できそこないの男たち


できそこないの男たち (光文社新書)


できそこないの男たち (光文社新書)

性決定の分子生物学の最近の動向を知りたくて読んでみた。読み物としては面白いが、あまり授業の参考にはならなかった。男性化を決定する遺伝子が発見されるまでのいきさつとか、雌をデフォルトとする身体の構造がどのようにして雄の構造に改変されるか、といったところは参考にはなる。それ以外の部分、留学時の体験などについても面白く読める。
著者が、研究者にしては文章がうまいということは認めざるを得ない。しかし、少し策におぼれすぎて、不必要に凝った書き方に、いささかうんざりさせられることもあった。第十章「ハーバードの星」は、こじつけの理由で悪趣味に走っているように感じた。