ゼミ合宿in智頭町新田集落3

新田集落とお別れし、智頭の宿場町へ。かつて栄えた時代の名残が石谷邸という豪壮な旧家に見える。その後、平家の落人伝説も残る山奥の集落、板井原へ向かう。ここは、集落全体が昭和30年頃の農村の風情をそのままに残す、集落丸ごとフィールドミュージアム、という位置づけで宣伝されている。といっても見せ物として整備されているわけではなく、現在も一部で人が生活している古い農村の小道を歩いてみるだけ。途中、古い養蚕農家の家を改造した喫茶店でお茶する。これにて合宿日程は終了。あとは帰るだけだ。

環境問題と村おこし・町おこし。このふたつは密接に結びついている。日本に残された自然環境の多くは、その地の人の生活と結びついて維持されてきたものだ。多くの山村で地域の生活が維持できなくなり、その結果として周囲の自然環境は放棄されあるいは開発のために売却される。伝統文化や建築物、史跡等が失われていくのと同じ構図だ。村や町が自分たちの持っている文化や自然環境を財産と認識して、それを生かして地域の生活を元気にしていくことができれば、町は活性化し、同時に自然環境も保全される。そうした意識で今回のゼミ合宿は計画された。
実際に現場を体験して、都会との交流に農村環境がうまく利用されているのは感じたが、森林の積極的な利用はまだまだという気がした。林業としては木を切っても商売にならないから切れない、というのは事実だろう。しかし、都会の人間の目に「木」はかなり魅力的なものとして映る。材木としてではなく、「木」としてもっと売り込むすべはないものか。帰ってきてから、そんなことを考えている。