智頭町訪問

岡山県との県境に位置する山村、鳥取県智頭町の新田集落に日帰りで行ってきた。ここは、集落をまるごとNPOにして、都会の住民との交流とか勉強会とかいろいろ盛んに村おこしに取り組んでいる。内モンゴル緑化ツアーを企画した旅行社が、ゼミの合宿にどうかと持ち込んできたのがきっかけなのだけど、ちょっとおもしろそうなので一度現場を見に行こうと思ったのだ。中国道佐用ICから30分程度なので、大阪から自動車でも2時間半。智頭急行が通っているので電車でも2時間で行ける。そういう意味では、めぐまれた田舎だろう。


ちょうど、いずみ市民生協を通して都会の子どもたちが遊びに来る「田んぼの学校」というのをやっていて、山登りをした子どもたちが降りてきて今度は川遊びをしていた。都会の子どもにはいろいろ楽しい経験ができる場所だろう。そういう取り組みが、集落を活性化しているのか見たかった。そんなところでゼミの合宿をして農業体験や林業体験をして、日本の田舎の持続可能な発展を考える機会にできないかと期待している。


話を聞かせてくれたNPO代表の岡田さんは、しかしどうも少しお疲れのようだった。活動を始めて20年。NPOになって8年。ずっと活動は継続しているが、後継者は育たず、集落の人口も減る一方。集落をNPOにして自治運営するというのが珍しくて視察団はよく訪れるようではあるが、事態はあまりよくなってはいないようだ。


新田集落をあとにして、智頭町の宿場町を散策する。こちらはこちらで別のNPOが町おこしに取り組んでいて、古い豪邸や杉玉、「夏子の酒」のモデルになった酒蔵など、いくつかの見所を整備している。山の奥には、古い集落をそのまま保存した板井原集落というのもある。ありふれた観光型ではあるが、こちらのほうがまだ町おこしとしては成功しているかもしれない。


ごく短時間の滞在なのでもちろんまだまだ見えてないものがあるにちがいないが、やはり田舎の活性化とか持続可能な発展とかいうのは、頭で考えるほど簡単なことではない。それだけに、現場を自分の目で見るのは大切だと思う。今回は、ゼミの4回生を3人同行したのだが、なにを見て何を考えてくれたか、それが楽しみだ。