焼きそば屋

近くの団地の夏まつりで、小学校の親父の会が焼きそば屋を出店する、その手伝いで昼から働く。ここでの稼ぎが翌年小学校で行われる花火大会の原資になるのだから責任重大だ。相当の利益を生み出さないと、花火がしょぼくなる。だからみんな真剣に働く。

とはいっても、その場になってから去年はあーだったいやこーだった、これが足りないあれをもってこい、となかなか進まない。そうこうしているうちに祭りが始まる。始まってもしばらくは余裕で在庫の焼きそばの山を作っていた。ところが6時を過ぎたらどんどん売れていく。在庫はあっという間になくなって、焼き手はおおあわて。そのうちに、キャベツが足りなくなる。ソースが足りなくなる。買いに行ったらなかなか戻らない。行列が長くなり、焼きそばはできてこない。ラムネとビールの販売でお茶を濁す。

そんなこんなで半日があっという間に過ぎていった。気がつけば、焼きそばは一口食べただけだった。そそくさと片付けて撤収。疲労と達成感と喪失感。この感じは、大学の頃サークルで夢中になってやったイベントの後の気分に似ている。長いことこういう気分を忘れていた。だから、仕事もあって大変なのに、親父たちはなんだかんだと子どもにかこつけてボランティアに精を出すのだろう。