エコとピース

ap bankのモデルとなった「未来バンク」の理事長を務める著者が、私たちの使うお金がいかに戦争や環境破壊につながっているかということを平易に解説した本。去年、うちの大学で環境講演会を企画したときに、学生が候補に挙げたもうひとりの人だ。とくに温暖化問題に関しては、一般家庭の省エネを中心にすえようとする政府の方針がいかに欺瞞に満ちているかを、データを示しながら指摘する。ひとつひとつの主張の裏付けとなっている資料の情報がきっちり明記されているので、ゼミなどで著者の主張を検証してみるのもおもしろいだろう。
ときに過激なその主張は小気味よく、自分たちの手でお金の使われ方を変え社会を変えていこうとする気概に勇気づけられる。学生には、こういう本を読んで大きな夢を持ってもらいたい。
ただちょっと気になったのは、9.11の同時多発テロがアメリカの自作自演による捏造ではないかということを、最後近くに主張している点だ。こんなものを真顔で言われると、他の部分まで「トンデモ」ではないかと疑わざるを得なくなる。むろんその主張にも一定の資料的裏付けを提示してはいるが、それだけで納得できるような話ではない。せっかくの本に汚れをつけてしまっているように思う。