ゼミ生のたまり場

夕方、もうそろそろ帰るかな、と思っていたらゼミ生からメールが入って、これから研究室で学祭準備の作業をさせてくれないかという。学祭でグループ展示をしてもらうことにしたのだが、今年の連中はけっこう立体的な展示物を考えており、製作にそれなりの手間と時間がかかりそうだ。あてにしていた作業場所が使えなかったということで、急遽助けを求めてきたのだ。仕方ないので来てもらったら、狭い部屋に7人も集まってワイワイと作業することになった。こちらはこちらの仕事をしながら傍観していたが、お祭り前の楽しい気分の盛り上がりが感じられた。展示内容に若干の不安はあるが、楽しんで仲良くなって、ひとつのことを成し遂げてくれたらと思う。おかげで部屋を出るのが予定より2時間近く遅くなってしまったが。

大学では、公認団体に属していなければ部室などの「居場所」がないわけで、多くの学生が居場所のない不自由さに苦しんでいる。集まって話をしたり作業をしようと思っても、教室も勝手に使えないし、たむろできる場所も少ない。自分は大学の時、サークルのBOX(不法占拠した地下の一角を部室にしたものだった)に始終入り浸っていたが、あの場所がなかったらいったいどんな大学生活になっていたのか、想像することすら難しい。居場所がない以上、用がなければ大学を出るしかないだろう。留学していたアメリカの大学は、学部生の多くはキャンパス内の寮に住み、大学院生も近隣に住んで自動車通学だったから、学外で集まるのも簡単だった。しかし、今の学生は多くが遠く離れた自宅から通学しており、学外の拠点もないに等しい。この状態では、学生が継続的に集まってなにかをするには、かなりの計画性がなければ難しい。なんとなく集まっている仲間の中から自然発生的に行動が起きる、ということはなかなか期待しにくいだろう。研究室に集まってもらうことが多少の助けになれば、とは思うが、本当はもっとたくさんの「居場所」を提供することが必要なのだろう。