映画のはしご

思い立って、昼から映画館に行く。「硫黄島からの手紙」を観て、いったん帰宅したがなんとなく勢いがついていて、レイトショーの「007カジノ・ロワイヤル」も見に行く。見終わったら深夜だったが、近所のラーメン屋で夜食。こんなの学生時代以来のことだ。
カジノ・ロワイヤル」は2時間半を超える大作だったが、飽きずに見れた。事件は小粒な感じだが、アクションは満載。主演のダニエル・クレイグが、荒削りな殺し屋から洗練された007に変化していく姿が印象的だった。
硫黄島からの手紙」は、まぁ予想どおり。実際には日本軍は2万人いたというが、映像的にはせいぜい40-50人しかいないような印象を受けたのは、ちょっと減点かな。戦闘より人間を描きたかった、ということと、低予算でエキストラをあまり使わなかった、ということか。
個人的にこの映画では、一人の無名の俳優にずっと注目していた。主役の一人、西郷(二宮和也)の相棒野崎に扮していた松崎悠希だ。知り合いでも何でもないが、ずいぶん以前から彼の日記をホームページで読んできた。読み始めたころ、彼はニューヨークのタイムズ・スクエアの道ばたで歌を歌って日銭を稼ぐ、極貧の日本人青年だった。それが、数本のインディペンデント映画に出たりしているうちに、「ラストサムライ」ではトム・クルーズを殴る官憲の役をし、今回この映画では役名のあるかなり重要な役で出演している。パンフレットには彼の名前も顔もどこにも載っていないが、かなりの存在感を示していたように思う。撮影当時の日記では、役作りのために5週間近くほとんど飲まず食わずの状態で、実際に「野崎」になろうとしていた様子がうかがえる。もっとも、スクリーンではけっこう血色よくたくましい感じに映っていて、あまりやつれたようには見えなかったが。日記に書かれている彼の演技に対する姿勢や、今回の出演の姿を見ると、いずれもっと大きな役で活躍することになるのはまちがいないだろうと思える。ずっと応援していきたい日本人だ。