悲しい風景

1回生ゼミで、大学近辺の風景を知ってもらうために近所に出かけるということをしている。この日は松尾寺グラウンド行きの大学のシャトルバスに乗って、大学南部に残るミカン山などの風景を見に行った。私自身行ったことがなくて、どんな風景があるか不安だったが、予想以上の収穫だった。
グラウンド自体は山あいの谷底のような所にある。その入口付近には、急斜面を利用したミカン山。しかし圧倒されるのは、南側にそびえる大きな斜面。不自然に直線的な斜面で、全面が雑草に覆われ、水平な層構造が見える。この山はまずまちがいなく残土埋立で作られた人工の山だ。その巨大さに圧倒される。

門を出て、少し南に下ると東側に入る小道があった。そこに入ると、左手はミカン山、一方の右手は今まさに残土処理が行われている埋め立ての現場だった。圧倒的な規模で行われている埋め立ての実態がそこにあった。

帰り道の両脇にも、さまざまな廃棄物処分場や、埋め立てた土地に新たに作られたミカン園や公園が見える。これが、拡大する都会の周縁に残ったわずかな里山・谷の運命なのか。どこまで学生達の心に響いたかはわからないが、この風景をもっと多くの学生に見せなければと思った。