ミジンコ本

ミジンコ先生の水環境ゼミ―生態学から環境問題を視る
花里孝幸著『ミジンコ先生の水環境ゼミ―生態学から環境問題を視る』(地人書館 2006)読了。ミジンコを材料にした短い話を積み上げて、淡水生態系の話から水系の環境問題をわかりやすく解説している。水がきれいになれば魚は減る、といった、一般の人が想像しにくい水中の生態系の妙を、懇切丁寧に説明してある。以前京大であった個体群生態学会研究会での講演を聴き、感銘を受けたことを思い出した。素人には一様に思える水中に大きな不均一性(層構造)があり、それが水中の生物の生活に大きく影響していること、その層構造のでき方が地球温暖化の影響を受け水中生物に影響すること、など再認識した。淡水域の生態学、あるいは水系の環境問題、どちらの導入としても好適な一般向けの入門書といえよう。