大ポカ

いよいよ秋学期が始まるので、その前に春から放置してあるもろもろの整理をしていた。春学期の講義の配付資料や集めたコメントカードをいれた封筒を床から拾い上げて、廃棄と保管に分けて処理していたが、ひとつの封筒を見て背筋が寒くなった。そこには3通のレポートが入っていた。ここにこの3つだけがあるということは、成績をつけるときに見ていないということで、つまり提出されているのに「未提出」にして成績を出してしまったということだ。他の受講者のレポートは教務課で一括して集めてもらっていたので、この3つだけは直接持ってきたのを受け取ったということだろう。確認してみると、このレポートが「未提出」となっているために、ひとりは「B」が「C」に、ふたりは「C」が「D(不合格)」になっている。もう成績は発表されているし、とくに不合格になった二人は不審に思っているだろう。大あわてで資料を用意して教務課に走り、成績訂正の手続きをとる。すみませんもうしませんと謝るが、しかしもう二度と起こしませんとは、とても約束などできない。また起きる可能性は十分にある。
膨大な数のテストやレポートを採点し、それを転記し、合計し、判定する。そのあらゆるステップでミスが入り込む余地がある。関わっているのは自分ひとり。起きたミスに気づく機会はほとんどないといっていいだろう。チェックの機会があるとすれば、それは受講者自身による自己判定に基づくものだけだ。だから、自分の成績に納得がいかなければ、学生はどんどん確認のために教員を訪ねていくべきだ。学生がそうしてくれるとわかって初めて、こちらも安心して採点ができるというものだ。