残土

和泉市の環境審議会専門部会委員を仰せつかっていて、今日は会議。その前に、和泉市南部の残土処分場の視察ツアーに連れてってもらった。残土は産業廃棄物の範疇には入らないので、その処分にはほとんど規制がかかっていない。それを規制するために、市で条例を作る、その手伝いをするのが私らのお仕事なのだ。
いやぁ、すごいすごい。小さな谷をかたっぱしから残土で埋めて、平らな土地を作り出している(このへんとか)。ミカン山とか谷間の田んぼとか、どんどん消えていくわけだ。しかも、そのへんで一番高い地点までどんどん積み上げていくものだから、埋められたところと周りの標高差がかなりある。これだけたくさんの残土を埋めてりゃ、ついでに産廃もちょこっと入れとこか、と考えるのが人情だろう。それが発覚する可能性は、かなり少ないと悲観せざるを得ない。
驚いたのは、こうした残土処分地の多くは、土地所有者から無償で一時的に貸し出されているということだ。つまり土地所有者は、埋め立て事業者に対し、残土で埋め立てて土地を平らにしたら返してくれよ、という契約をしているらしい。ミカン山はもうからないし、農業するには傾斜がきつい不便な土地が、残土の埋め立てで平らになれば農業するにも宅地化するにも便利になる。そういうことで、土地所有者と埋め立て事業者の利害が一致する。残土処分は産廃に比べると処理費が安い(トラックいっぱいで6000円からせいぜい1万円)ので、そうでないと事業者も苦しいのだろう。
しかし、悲しい眺めだった。谷間の小さなミカン山や田畑やため池は、なつかしい農村の風景そのものだ。住宅開発がどんどん進む和泉市だが、こうした風景が隣接して残っていればそれはそれで価値があるのだが。規制すれば不正は減らせるが、埋め立てそのものは止まらない。悲しい。